皆さんこんにちは。
むかえ歯科・小児歯科です。
「歯の神経を抜くってどんな治療をするの?」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
歯を残したまま神経だけ取ることができるので、良さそうと思う方もいるかもしれません。しかし、神経を取ることにはさまざまなリスクがあります。
この記事では、神経を抜く治療について理解するために、神経に関するポイントについて紹介します。
- 歯の神経とは何か
- 役割
- 治療法・流れ
- 抜いた後に起こる症状
詳しく解説していきますので、ぜひお役立てください。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
歯の神経とは
歯の神経とは歯髄という組織を指します。
歯は、外側から、表面のエナメル質、少し柔らかい象牙質、歯髄という順番になっています。
この歯髄には痛みなどの刺激を脳に伝える機能があります。
また、歯の神経には血管も通っており、水分や栄養を歯に送るという役割もあります。
歯の神経の役割
続いて歯の神経の役割を解説します。
- 水分や栄養を運ぶ
- 歯の異常を教えてくれる
詳しく見ていきましょう。
【歯の神経の役割1】水分や栄養を運ぶ
歯の神経は水分や栄養を運ぶ役割を持っています。
神経部分に通っている血管から歯の中に水分や栄養を送ることで、歯が割れずに固い状態を保つことができています。水分や栄養が不足すると、歯が脆くなったり、色が変わったりするリスクもあります。
このように、神経は歯をきれいで丈夫な状態に保つ、非常に重要な役割を担っています。
【歯の神経の役割2】歯の異常を教えてくれる
歯の神経は、歯に何か異常が起きていないか教えてくれる役割があります。
知覚過敏でしみたり、虫歯が進行して痛みがあったりするなどの刺激は神経によるもの。痛みを出すことで、歯に異常があることを教えてくれます。
痛みなどの刺激を感じたら、早めにに歯科医院にいきましょう。
歯の神経を抜く人は多い!20・30代の割合を解説
歯の神経を抜いた経験がある人は、意外と多いものです。日本歯内療法学会の調査では、神経を抜いた20・30代の割合は、以下のように発表しています。
- 20代:28.1%
30代:15.0%
特に、20代は約3人に1人が歯の神経を抜いているという結果が出ています。そのため「若いから大丈夫」とは思わず、虫歯への対策をおこなう必要があります。
▼虫歯の予防方法について知りたい方はこちら▼
>>【セルフケアが重要】虫歯にならない方法を徹底解説
歯を抜かずに神経だけを抜く治療とは?
歯の神経を取ると聞くと、歯も抜いてしまうのでは?と思ってしまいがちですが、歯を抜かずに神経だけを取る治療もあります。
神経だけを抜く治療について、以下の部分を紹介します。
- どんな治療法か
- どんな時にするのか
詳しく見ていきましょう。
どんな治療法か
神経だけを取る治療は根管治療と呼ばれます。
虫歯部分を削って取り除き、歯の神経部分を露出させ取り除きます。
その後、綺麗に消毒、薬品を治療部分に入れて、虫歯の再侵入を防ぐという流れです。
虫歯が重症で、被せ物をしなければならない時は、歯の土台を入れていきます。
歯自体を抜く必要はなく、虫歯部分を取り除いた後の歯に治療を施します。
どんな時にする治療法か
根管治療は以下の症状の時に行われる治療です。
- 虫歯が重症化した時
- 重度の知覚過敏になった時
- 歯に亀裂が入った時
詳しく見ていきましょう。
【根管治療をする状態1】虫歯が重症化したとき
虫歯が重症化して、神経部分である歯髄にまで虫歯菌が達してしまった時に、神経を取ることがあります。
虫歯が原因の炎症を放置していると、どんどん広がってしまいます。
場合によってはリンパが腫れ、発熱してしまうなど体に影響が出ることがあります。
虫歯が神経に達し、炎症を起こしてしまうと、歯髄炎になってしまい、激しい痛みを伴います。放置すると、神経が壊死してしまう可能性が高いです。
壊死してしまうと、そのまま神経が腐っていき、口臭がひどくなったり、歯の色が黄色や灰色に変化したりしてしまいます。そのまま歯周炎などの重度の炎症を引き起こしてしまう可能性もあるため、神経を取り除く治療をするのです。
【根管治療をする状態2】重度の知覚過敏になったとき
重度の知覚過敏になってしまった時に、歯の神経を取ることがあります。
知覚過敏は虫歯や神経の炎症が無い状態なのに、冷たいものや歯ブラシの毛先が歯に当たった時にしみてしまう症状です。
これは、歯のエナメル質の内側にある象牙質がむき出しになっていることが原因。象牙質は神経部分である歯髄を包んでいるので、触れた時の刺激が神経に伝わりやすくなってしまいます。
基本的に知覚過敏では神経を抜きませんが、あまりにも重症な場合はまれに根管治療を行う場合があります。
【根管治療をする状態3】歯に亀裂が入ったとき
歯に亀裂が入ってしまった時、特に亀裂が歯の神経まで到達している場合は、歯の神経を取ることがあります。
神経まで亀裂が到達していると菌が神経を侵食してしまい、炎症を起こしてしまう可能性があります。炎症を防ぐためには内部を清掃・消毒しなければいけません。この治療の一環として、神経を取り除く必要があります。
歯の神経を抜く根管治療の流れとは?
歯の神経を取る根管治療の流れを解説します。
流れは以下の通り。
- 虫歯の部分を削る
- 神経を取る
- 根管を拡大する
- 根の清掃・消毒をする
- 根管を充填する
- 歯の土台を入れる
詳しく見ていきましょう。
【根管治療の流れ1】虫歯の部分を削る
虫歯の部分を削ります。
目視やレントゲン、虫歯検知液を使って、虫歯の位置を確認し、バーという器具を使って削り、除去します。
【根管治療の流れ2】神経を取る
次に神経を取っていきます。
歯を削って、神経部分である歯髄を露出させ取り出します。
歯髄を「ファイル」と呼ばれる器具で除去、さらに根管内の神経も取り除きます。奥歯の場合、神経が複雑になっているので、他の歯よりも時間がかかってしまいます。
【根管治療の流れ3】根管を拡大する
次に根管を拡大します。
根管は神経が通っている管のこと。細く曲がっていて、木の枝別れのように複雑な形態になっています。
根管に薬剤がしっかり詰まるように、根管の外側の壁を削り、太くまっすぐなるように整えます。
【根管治療の流れ4】根の清掃・消毒する
根の洗浄・消毒をして、殺菌します。
菌が残っていると、炎症を起こしてしまう可能性があります。完全に無菌化するこはできませんが、できる限り殺菌していきます。
【根管治療の流れ5】根管を充填
根を綺麗にしたら、次に根管を充填。
根管内に防腐剤などの薬剤を入れて、再び感染しないよう隙間を塞いでいきます。糊のようなゲル状のものや、ガッターパーチャという固形のものを詰めていきます。
【根管治療の流れ6】歯の土台を入れる
最後に歯の被せ物する際に必要なコアと呼ばれる土台を入れます。
虫歯が進行してしまい、被せ物をつけられない状態の際に行われる処置です。
土台に銀合金製のメタルコアやプラスチック製のレジンコアが使われます。コアの芯部分であるポストにはファイバー製や金属製のものが使われます。
歯の神経を抜くと起こる4つの症状
歯の神経を抜くとどんな症状があるのか解説します。
紹介する症状は以下の4つ。
- 歯の色が変わってしまう
- 歯が脆くなってしまう
- 虫歯に気づきにくくなってしまう
- 痛みが残る場合がある
詳しく見ていきましょう。
【神経を抜くと起こる症状1】歯の色が変わってしまう
神経を取ってしまうと歯の色が変わり、黒ずんでしまいます。
神経には血管が通っているので、取ることで血液が循環しなくなり、歯のコラーゲンが変色してしまうのです。多くの場合は、白っぽい被せ物をして見た目を改善します。
【神経を抜くと起こる症状2】歯が脆くなってしまう
神経が無い歯は脆くなってしまいます。
栄養を送る血管が無くなり、歯の栄養が足りなくなり割れやすくなるのです。同時に歯の寿命も短くなってしまうので、定期的に歯科医院に行き、状態を確認しておきましょう。
【神経を抜くと起こる症状3】虫歯に気づきにくくなってしまう
虫歯に気づきにくくなってしまう点にも要注意。
刺激を伝える神経を取ってしまうので、痛みを感じることができにくいです。虫歯などの異常に気づくのが遅くなってしまいます。
神経を取ってしまった歯は、注意深く観察するようにしましょう。
【神経を抜くと起こる症状4】痛みが残る場合がある
神経が取り切れていない場合に痛みが残る場合があります。
切除した神経の一部が歯の中に残ってしまうことがあり、触れると痛みが出ます。根管治療をして、神経を抜いたのに痛みが残っている場合は歯科医院を早めに受診しましょう。
気になることがあれば歯科医院に相談しましょう
この記事では、歯の神経について気になる以下の部分を紹介しました。
- 歯の神経とは何か
- 役割
- 治療法・流れ
- 抜いた後に起こる症状
神経を取る治療にはデメリットもあります。神経は再生されない部位なので、できるかぎり残せるように早めに治療にお越しください。
もし、歯に何か違和感を感じている人はなるべく早く歯科医院に行きましょう。当院の一般歯科の治療もご利用ください。
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