「歯茎の変な位置から歯が生えている」
「子供の歯の数が多い気がする」
「過剰歯と歯医者に言われたけど大丈夫なのか」
という不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
過剰歯は歯の本数が通常より多い状態です。抜歯しないと、他の歯に悪影響を与える可能性があります。
ただし、状況によって、抜かずに経過観察したりする場合があります。
歯科医院で相談して治療を進めていきましょう。
この記事では過剰歯について気になる以下のポイントを解説しています。
- 過剰歯とは
- 過剰歯の種類・影響
- 治療方法
詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
過剰歯とは
過剰歯とは、歯の数が通常より多いことです。
通常の歯の数は乳歯が20本、永久歯が32本(親しらず4本込み)となっています。これ以上歯が多く生えている場合は過剰歯です。
上の前歯の真ん中付近や、親知らずと奥歯の間に過剰歯はできやすいです。遺伝などが原因と考えられていますが、詳しい理由は分かっていません。
歯並びに影響が出てしまう可能性が高いので、過剰歯がある場合は治療を進めていく必要があります。
過剰歯を見つけたら早めに歯科医院で相談しよう
口内に通常の歯と違う歯を見つけたら、早めに歯科医院で相談しましょう。放置すると他の歯に影響が出てしまう場合があります。
大人になってから過剰歯を治療すると、骨が硬くなっていることがあり、痛みや手術の時間が長くなる場合もあります。気づいた段階で早めに歯科医院にお越しください。
すぐ抜歯すべきか、その後に歯科矯正が必要かなど、お口の状態をみてご説明いたします。
過剰歯の種類
過剰歯の種類は以下の2つに分けられます。
- 順性過剰歯
- 逆性過剰歯
それぞれの特徴を解説します。
順性過剰歯
純正過剰歯は、通常の歯と同じ向きで生えている過剰歯です。
成長してくると、そのままの向きで歯茎を貫通して生えてきます。抜歯する場合は、生え揃うの待つことが多いです。
逆性過剰歯
逆性過剰歯は、通常の歯とは異なる向きで生えている過剰歯です。
歯茎の中に埋まっていることが多く、そのまま生えてこない場合もあります。骨の奥にあるのでレントゲンを使って確認します。
骨の奥深くに埋まっていて、他の歯に影響を与える心配がない場合には、抜歯せずに経過観察します。近くの歯に影響が出てしまう可能性が高い場合は、歯茎を切開して抜歯していきます。
過剰歯による影響
過剰歯になった際に起こる影響は以下の7つです。
- 永久歯がうまく生えてこなくなる
- 叢生になり歯並びが悪くなる
- 歯と歯の間に隙間ができやすい
- 永久歯の根を溶かしてしまうことがある
- 神経を圧迫して痛むことがある
- 囊胞ができてしまうことがある
- 細菌感染を起こすことがある
それぞれ解説します。
【影響1】永久歯がうまく生えてこなくなる
過剰歯があると、永久歯がうまく生えてこなくなる可能性があります。
通常、乳歯が抜けた後、約3ヶ月で永久歯がまっすぐ出てきます。ただし、過剰歯が永久歯の生える場所にあると邪魔をしてしまい、うまく生えられません。
他の歯を圧迫したり、痛みが出てしまったりすることもあります。
【影響2】叢生になり歯並びが悪くなる
歯並びがでこぼこの状態「叢生」になる可能性があります。
過剰歯で永久歯が圧迫されるのが原因です。叢生になると歯磨きがしにくいので歯垢がたまりやすくなります。結果、虫歯や口臭の原因になりやすいです。
【影響3】歯と歯の間に隙間ができやすい
歯と歯の間に隙間ができやすくなってしまうのも、過剰歯による影響の1つです。
過剰歯が上の前歯の間にできると、つっかえ棒の様になって前歯の隙間が広がってしまいます。結果、すきっ歯の原因になります。
【影響4】永久歯の根を溶かしてしまうことがある
歯茎の中にある過剰歯が骨の中で成長すると、永久歯の根を溶かしてしまうこともあります。
永久歯の根元にあるセメント質が傷つくと、内側にある象牙質にもダメージが及びます。そしてさらに内側にある、神経にも影響を与えます。
重症化すると神経が死んでしまい、永久歯が抜けやすくなったり、歯が短くなったりしてしまいます。
【影響5】神経を圧迫して痛むことがある
埋まっている過剰歯が歯の神経を圧迫して、痛むこともあります。
神経を傷つけてしまうと、その神経が死んでしまう原因になる可能性が出てきます。最悪の場合は健康だった永久歯を抜歯しなければなりません。
埋まっている過剰歯が目では見えず、レントゲンを使わないと特定できません。痛みがあるのであれば、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
【影響6】囊胞ができてしまうことがある
過剰歯が原因で囊胞ができてしまうことがあります。
嚢胞とは、膿が液状に溜まって袋状になっている状態のことです。埋まっている過剰歯の周りに嚢胞ができやすいです。
歯周炎になったり、腫れてきたりする原因になります。
【影響7】細菌感染を起こすことがある
むし歯などが原因で神経が壊死した場合、その根本に過剰歯が埋まっていると細菌感染を起こしてしまうことがあります。
大きく腫れたり、痛みが出たりしてしまうので、過剰歯を早めに抜歯する必要が出てきます。
過剰歯の治療法
過剰歯の治療法は以下の3つです。
- 抜歯
- 埋まっている場合は歯茎を切開して抜歯
- 他の歯に影響が出ない場合は経過観察
それぞれ解説します。
【治療法1】抜歯
抜歯して過剰歯を取り除きます。純正過剰歯であれば、すぐに抜歯をおこないます。
子どもの頃に見つかった場合は、早めに抜歯できれば永久歯への影響を減らせます。永久歯の出口を塞がなければ、歯並びへの影響を少なくできるので、早めに処置しましょう。
【治療法2】埋まっている場合は歯茎を切開して抜歯
歯茎の中に埋まっている場合は、歯茎を切開して抜歯を行います。
ただ、埋まっている場所によっては簡単には抜歯できません。歯の根が完成していない時に無理矢理抜いてしまうと、他の歯に悪影響が出ることがあります。
埋まっている場合は歯の根まで確認した上で治療方法を決めます。すぐに抜歯するか生え揃うのを待つのか、歯科医師の判断を聞いて治療を進めましょう。
【治療法3】他の歯に影響が出ない場合は経過観察
他の歯に影響が出ない場合は経過観察を行います。
歯茎の内側や骨の深い部分に埋まっている場合、他の歯に影響が出ない場合もあります。無理に抜歯しようとすると歯茎を深く切開する必要があり、体への負担が多くなる可能性が高いです。
経過観察を行う際は定期的に歯科医院へ行き、異常がないか確認しましょう。
過剰歯について気になることがあれば歯科医院へ
この記事では、過剰歯について気になる以下のポイントを紹介しました。
- 過剰歯とは
- 過剰歯の種類・影響
- 治療方法
過剰歯は歯の生え方に影響が出る場合が多く、しっかりと治療を進める必要があります。お子さんに過剰歯がある場合は、永久歯の歯並びが悪くならないように早めに治療を進めましょう。
歯茎の中に埋まっている場合はレントゲンを使わないと発見できません。歯科医院へ定期検診へいき、口内の状況を確認しておきましょう。
※コラムをご覧いただいた方からのご連絡が増えており、治療が必要な方のお電話が繋がりにくくなっています。当院での治療を検討していない患者様による、ご質問だけのお電話はお控えください。