歯のトラブルや事故により奥歯を失い、どういう治療を受けようか悩んでいる方に向けてこの記事を書きました。
歯科医院からインプラントを提案されたけれども、具体的にどんな方法なのかわからないという方もいるでしょう。大切な歯の治療なので、メリットやデメリットをしっかり理解した上で方法を選びたいですよね。
そこで、この記事では奥歯のインプラントについて解説します。
- そもそもインプラントとは何か
- 奥歯のインプラントを考えるべきタイミング
- メリット・デメリット
- インプラントができないケース
- 治療における注意点
基本からわかりやすく説明いたしますので、ぜひ参考にしてください!
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
そもそもインプラントとは
インプラントとは、医療目的で使用される体に埋め込むための、人工の材料や部品の総称です。心臓に入れるペースメーカーや、美容目的で入れるシリコンなどもインプラントの一種となります。
歯科医院で行われるインプラント治療とは、歯を失った箇所に人工の歯根を埋め込んで補う治療法です。
顎の骨に埋め込まれるインプラントの素材は、体に馴染みやすいチタン、もしくはチタン合金という金属が使用されています。
インプラント治療を考えるべき3つのタイミング
次に、インプラント治療を考えるべき3つのタイミングをご紹介します。
- 虫歯や歯周病で抜歯するとき
- 事故などにより歯を失ったとき
- 生まれつき歯が足りないとき
【タイミング1】虫歯や歯周病で抜歯するとき
虫歯や歯周病が原因で抜歯をせざるを得ない場合に、インプラント治療で歯を補うことができます。
抜歯の理由として多いのが、歯周病と虫歯。
治療を進めていて抜歯が必要と判断された場合には、インプラントを検討することも可能です。
インプラント治療をするには、基本的に虫歯や歯周病の治療を行い、綺麗な歯や歯茎にしてから行います。
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【タイミング2】事故などにより歯を失ったとき
事故など何らかの形で歯に力が加わり、折れたり抜けたりしてしまったとき、抜歯が必要なこともあります。その場合も同様に、インプラント治療で歯を補うことが可能です。
【タイミング3】生まれつき歯が足りないとき
生まれつき歯が生えてこなかったり、乳歯が抜けたあと永久歯が生えてこなかったりする場合に、インプラントで補うことが可能です。この場合、矯正治療を併用することがほとんどです。
ただし、子どものうちはインプラント治療ができません。顎の成長が止まる成人まで待つ必要があります。
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奥歯のインプラントをする4つのメリット
ここからは、奥歯の治療をするインプラントに絞ってお話をしていきます。まずは、奥歯にインプラントをいれるメリットを4つ紹介します。
- しっかり噛むことができる
- 発音しやすくなる
- 入れ歯と比べ痛みが少ない
- 噛み合わせが整う
【メリット1】しっかり噛むことができる
インプラントは、歯を失ったときに行う治療の中で、最も咀嚼力が天然の歯に近いと言われている治療です。
というのも、インプラントは人工歯根を埋め込むので、根のある歯と同じような使用感になります。インプラント素材のチタンは、時間と共に土台の骨とくっつくので、ぐらつきがないのです。
ですので、奥歯でもしっかり物が噛めるようになり、残っている健康な歯への負担も少なくすることができます。
【メリット2】発音しやすくなる
奥歯のインプラントをすることにより、発音がしやすくなるというメリットもあります。
というのも、奥歯がないと空気が抜けて、うまく発音ができない場合があるのです。とくに「は行」や「ら行」は奥歯がないと話しにくくなります。
また、入れ歯であると、会話中にずれたり外れたりすることもあるので、うまく話せないこともあります。
インプラントなら、外れることも無いですし、発音もしやすくなるのです。
【メリット3】入れ歯と比べ痛みが少ない
奥歯の場合、歯にかかる力が他の場所より強く、入れ歯が合っていないと痛みを感じることがあります。
それに比べて、インプラントなら自分の歯のように噛むことができますし、骨とくっついて外れることもありません。
ですので、痛みや違和感が少なく済むというメリットがあるのです。
【メリット4】噛み合わせが整う
奥歯がないと、歯にかかる力が偏って、噛み合わせのバランスが崩れる場合があります。
噛み合わせが整っていないと全身のバランスも崩れて、肩こりや頭痛を発症することも。
インプラントであれば、歯にかかる力の偏りが少なくなります。
その結果、全身のバランスが整うので、体の不調を軽減できる可能性もあります。
奥歯のインプラントをする3つのデメリット
次に、奥歯のインプラントをするデメリットを3つご紹介します。
- 治療にかかる費用が高め
- 治療期間が長くなることがある
- 定期的なメンテナンスが必要
【デメリット1】治療にかかる費用が高め
インプラントの素材に使用されているチタンは高価な金属なので、治療費が高くなってしまいます。
また、病気や怪我の場合を除き、保険が適用されないので、全額自己負担となるのです。
インプラントをすることによるメリットは多いものの、高額な費用がかかるのはデメリットですね。
【デメリット2】治療期間が長くなることがある
骨の状態などにより個人差はありますが、入れ歯やブリッジなどの治療に比べて、治療期間が長くなることもデメリットの1つです。
骨が十分にある場合でも、治療期間は約4ヶ月。さらに、土台の骨量が少ない場合は、まず骨を増やす治療から始めます。この場合は、追加の期間として3〜9ヶ月かかることもあります。
【デメリット3】定期的なメンテナンスが必要
インプラント治療は、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスを怠るとお口の状態が悪化し、インプラントの寿命も短くなってしまいます。特に、インプラント治療後は治療前以上に、ていねいなメンテナンスが必要です。
奥歯のインプラントができない3つのケース
奥歯のインプラントは状況によってはできないこともあります。具体的に治療できないケースを紹介します。
- 顎の骨が脆い
- 子どもや妊婦
- 歯周病など口内に問題がある
【ケース1】顎の骨が脆い
骨が元々脆い場合や、骨量が少ない場合には、インプラント治療ができないことがあります。
インプラントは顎の骨に埋め込むので、骨が脆いとうまく固定できない可能性があるのです。
また、無理やり埋め込めても、結果として折れたり抜け落ちたりすることがあります。
【ケース2】子どもや妊婦
基本的にインプラント治療は、成人が対象になります。
子どもの場合、成長と共に顎の骨も動くにつれ、インプラントがずれる可能性があるので治療できません。
また、インプラント後に服用する薬がお腹の中に悪影響を及ぼす場合もあります。そのため、妊娠中の方も治療はできません。
【ケース3】歯周病など口内に問題がある
歯周病など、口内にトラブルがある場合には、インプラント治療ができない場合があります。
歯周病の原因となる歯周病菌が、インプラントの周りの粘膜に感染して、インプラント周囲炎になる可能性があるからです。
インプラントを入れたい場合は、先に歯周病の治療を終わらせる必要があります。
奥歯のインプラントをする際の注意点
次に、奥歯のインプラントをする際の注意点をご紹介します。
インプラント治療をする前には、歯科医師と詳しい問診が必要です。というのも、インプラント治療には、手術中に合併症や偶発症を引き起こしたり、骨結合や治癒を妨げたりするリスクファクターがあるのです。
リスクファクターとは、疾患を発生させる危険性を高める可能性がある要素のこと。
簡単に言うと、病気の危険因子です。
具体的に、
- 糖尿病
- 骨粗鬆症
- 喫煙
には、インプラントが打てるかどうかというリスクがあります。
これらには、骨結合を妨げたり、インプラント周囲炎を引き起こす可能性があるので、歯科医とよく相談しましょう。
また、心疾患には手術自体のリスクがあります。
このような病気を持っている場合は、歯科医師とよく相談してください。
奥歯のインプラントの費用
奥歯のインプラント治療の費用についてですが、当院では、1本35万円です。
骨の造成が必要な場合は、1本あたり追加で5万円がかかります。
まとめ
様々な歯のトラブルにより、抜歯が必要なときに、インプラント治療により補うことが可能です。
インプラントには、
- しっかり噛むことができる
- 発音しやすくなる
- 入れ歯と比べ痛みが少ない
- 噛み合わせが整う
というメリットがあります。一方で高額な上に、状況により治療できなかったり、ほかの疾患を持っているとリスクが上がったりするのがデメリットです。
これからインプラント治療を考えている方は、まずは歯科医院で相談をして、納得してから治療を受けてることをおすすめします。
※コラムをご覧いただいた方からのご連絡が増えており、治療が必要な方のお電話が繋がりにくくなっています。
当院での治療を検討していない患者様による、ご質問だけのお電話はお控えください。