皆さんこんにちは、むかえ歯科・小児歯科です。
今回は、不正咬合(ふせいこうごう)についてお話します。
不正咬合という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。不正咬合は一言で表すと歯の噛み合わせが悪い状態のことです。
「歯の噛み合わせが悪いだけ?」と思う方もいるかもしれませんが、不正咬合になってしまうと、体に様々な影響が出てしまいます。
今回は不正咬合について
- 原因
- 種類
- 体への影響
などを解説します。歯並びが気になっている方は、ぜひ当コラムを参考にしてみてください。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
不正咬合(ふせいこうごう)とは
不正咬合は、上下の歯がきちんと噛み合っていない状態を指します。
症状は個人によって様々で、上顎が前に出ている人もいれば、左右に歪んでしまっている人もいます。
顎は食事を食べる際に必ず使う部分なので、不正咬合を放置してしまうと、顎まわりの筋肉や歯並びに様々な影響が出てしまいます。
不正咬合の原因5選
不正咬合になってしまう原因は、主に以下の5点です。
- 遺伝
- くせ
- 虫歯
- 口呼吸
- 外傷
詳しく解説します。
【不正咬合の原因1】遺伝
遺伝が原因で、不正咬合になってしまうことがあります。
両親の顎の骨がずれている場合、子どもも生まれつき顎の骨の形が悪い可能性があります。
また、唇や舌の異常が遺伝することも珍しくありません。
両親のどちらかが不正咬合なのであれば、子どもの歯並びが悪くないか、注意して観察しておくと良いでしょう。
【不正咬合の原因2】くせ
くせが原因で不正咬合になってしまうことがあります。
特に、幼児期の子どもに多い指しゃぶりには注意が必要です。親指をずっと咥えている状態が続くと、下顎が後ろに下がってしまいます。
また頬杖をついていると、横から歯に力が加わってしまい、顎が横にずれてしまうことがあります。指しゃぶりや頬杖など、口周りに関わるくせがある人は注意しましょう。
【不正咬合の原因3】虫歯
虫歯が原因で歯が早く抜けてしまったことが原因で、不正咬合になってしまうことがあります。
子どもの歯が虫歯で早く抜けてしまうと、永久歯が生えてくる前の歯茎にスペースができます。
歯はぎっちり並ぶことで、お互いにバランスを取っているのです。歯が抜けるとそのバランスが崩れてしまい、周りの歯がスペースに倒れてきてしまい、歯並びが歪んでしまいます。
虫歯がある場合は、歯科医院へ行き早めの治療を心がけましょう。
▼虫歯を放置する危険性を知りたい方はこちら▼
>>【今すぐ歯科医院へ】虫歯を放置すると危険な理由5選を解説
【不正咬合の原因4】 口呼吸
口呼吸が原因で不正咬合になってしまうことがあります。
鼻呼吸の時は、舌が上の前歯についている正常な状態ですが、口呼吸をすると舌が下の前歯側にずれてしまうのです。
舌の位置がずれると、口の中のバランスが崩れ、頬が押し込む力の方が大きくなったり、舌が歯を押し出す力が強くなったりします。舌がずれた状態が長く続くと、どんどん歯が歪んでしまいます。
また、口呼吸で口が空いている時間が長くなると、唇が歯を押さえつける力が弱くなり、出っ歯になってしまう原因になります。
自身や子どもが口呼吸をしている場合は、早めに改善するようにしましょう。
【不正咬合の原因5】外傷
顔面に大きな力が加わると、不正咬合になる場合があります。例えば、幼少期の事故が原因で、永久歯が生えなかったり、曲がって生えたりします。
【症状も解説】不正咬合の種類9選
不正咬合の種類は、主に以下の9点です。
- 叢生(そうせい)
- 反対咬合(はんたいこうごう)
- 過蓋咬合(かがいこうごう)
- 切端咬合(せったんこうごう)
- 交叉咬合(こうさこうごう)
- 開咬(かいこう)
- 上顎前突(じょうがくぜんとつ)
- 空隙歯列(くうげきしれつ)
- 顎変形症(がくへんけいしょう)
歯並び別に、症状を解説します。
【不正咬合の種類1】叢生(そうせい)
叢生(そうせい)は大きい歯があったり、顎が小さかったりして、歯の生えるスペースが狭くなってしまっている状態です。
歯と歯の間のスペースが極端に狭くなってしまうので、歯がまっすぐ生えてくることができず、ガタガタになってしまいます。
また、歯が生えるスペースがほとんどない場合、歯茎を突き破って横から生えてきてしまうこともあります。
【不正咬合の種類2】反対咬合(はんたいこうごう)
反対咬合(はんたいこうごう)は、下の前歯や下顎全体が前に出てしまっている状態です。
顎がしゃくれてしまい、声が聞き取りにくくなってしまいます。
また、以下の項目が原因となり、歯周病になる危険性が高まります。
- 食べ物が噛みにくい
- 歯茎が下がりやすい
- 歯と歯の間に汚れが溜まりやすい
【不正咬合の種類3】過蓋咬合(かがいこうごう)
過蓋咬合は、歯を噛み合わせた時に、上の前歯が下の前歯を覆い隠してしまう状態です。
過蓋咬合になってしまうと、噛む度に下の前歯が上の歯茎に当たってしまいます。その結果、年齢が進むにつれて、どんどん歯茎が傷ついてしまいます。
また、顎が奥に押し込まれることから、力が過度に加わり、顎関節症になりやすいです。
【不正咬合の種類4】切端咬合(せったんこうごう)
切端咬合(せったんこうごう)は、歯を噛み合わせた時に上下の前歯の先端が丁度当たってしまう状態です。通常であれば、下の歯が数ミリ下がっていて、綺麗に噛み合わさるようになっています。
切端咬合になってしまうと、噛むたびに歯に負担がかかってしまい、歯の一番先が削れたり、欠けたりしてしまいます。
また、上の歯による圧力を受け続けるので、下の歯が脆くなりやすくなってしまいます。
【不正咬合の種類5】交叉咬合(こうさこうごう)
交叉咬合(こうさこうごう)は、上下の奥歯の噛み合わせが左右にずれている状態です。
噛み合わせる度に、左右の歯に異なる力が加わるので、顎の関節に非常に負担がかかってしまいます。
重症になってくると、顔が左右非対称になってしまい、見た目でも口が歪んでいることが分かってしまいます。
【不正咬合の種類6】開咬(かいこう)
開咬(かいこう)は、歯を噛み合わせた時に、奥歯は噛み合っているが、前歯は噛み合っていない状態です。
前歯できちんと物を噛み切ることがができないため、食事の際に物を噛み切ることが難しいです。
また、奥歯に必要以上の負担がかかり、歯や顎の骨を痛めてしまう可能性が高くなってしまいます。
【不正咬合の種類7】上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突(じょうがくぜんとつ)は、上の顎が前に出ている、いわゆる出っ歯の状態です。
上顎前突は、上顎が出ている上顎前突症、下顎が引っ込んでいる下顎後退症があります。
指しゃぶりやおしゃぶりの使いすぎでが原因なことが多く、日本人のほとんどが下顎後退症となっています。
唇が閉じにくくなってしまい、口の中が乾燥しやすくなります。そのため、唾液の分泌量が少なくなり、虫歯や歯周病になりやすかったり、口臭の原因になったりしてしまいます。
【不正咬合の種類8】空隙歯列(くうげきしれつ)
空隙歯列(くうげきしれつ)は、歯と歯の間に隙間が空いているすきっ歯の状態です。
前歯や奥歯だけ、もしくは歯全体に隙間がある場合があります。前歯の間に隙間がある症状を正中離開と呼びます。
空隙歯列になってしまうと、歯の隙間から息が漏れ発音がしにくくなります。
また、歯磨きの際に歯ブラシが届きにくく、綺麗に磨くのが難しいので、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。
【不正咬合の種類9】顎変形症(がくへんけいしょう)
顎変形症(がくへんけいしょう)は、前述した反対咬合・開咬・上顎前突が重症の場合や顔面非対称の状態になっていることを指します。
顎変形症になってしまうと、歯の隙間から息が漏れ、発音がしにくくなってしまいます。顔を見ると、口元が歪んでいることがわかるので、コンプレックスになってしまうことも。
治療としては、外科的処置で、顎の骨全体を上下左右前後に動かす場合が多く、全身麻酔を使った手術を行います。口の内側を切るので、傷口は外から見えにくいです。
不正咬合が体へ及ぼす4つの影響
不正咬合は、体へ悪影響を及ぼすことがあります。
注意すべき項目は以下の4つです。
- 虫歯・歯周病になりやすくなる
- 食べ物を上手く噛めない
- 上手く発音できない
- 頭痛や肩こりになりやすい
それぞれ解説します。
【不正咬合の影響1】虫歯・歯周病になりやすくなる
不正咬合になってしまうと、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。
歯並びが悪くなると、歯が磨きにくい場所ができるためです。その結果、歯垢が溜まりやすくなってしまい、虫歯や歯周病の原因になってしまいます。
【不正咬合の影響2】食べ物を上手く噛めない
不正咬合で噛み合わせが悪くなると、食べ物を上手く噛むことができなくなってしまいます。
片側の歯だけで噛む状態が続くと、片側の筋肉だけが発達してしまい、噛み合わせがもっと悪くなってしまったり、顎関節症になってしまったりすることもがあります。
さらに、同じを歯を使い続けると、歯や骨を痛めてしまい、ひどい時は歯が欠けてしまう場合も少なくありません。
このように、均等に力がかからないとさまざまな影響が出てきます。
【不正咬合の影響3】上手く発音ができない
不正咬合になってしまうと、上手く発音ができなくなってしまいます。
上手く発音ができなくなる原因は、主に以下の2つです。
- 歯と歯の間に隙間ができる
- 顎がしゃくれている
歯と歯の間に隙間が空いていると、そこから空気が漏れてしまうため、言葉が聞き取りにくくなります。
また、顎がしゃくれていると、舌の位置が変わってしまい、サ行やタ行が発音しづらくなってしまいます。
【不正咬合の影響4】頭痛や肩こりになりやすい
噛み合わせが悪い状態が続くと、頭痛や肩こりになりやすいです。
歯並びに異常があると、噛む度に顎の関節に強い負荷がかかります。負荷がかかり続けると、首の周りの筋肉が緊張状態になり、肩こりや頭痛などの症状が出てしまいます。
【手術は必要?】不正咬合は矯正歯科で治療
不正咬合は歯科矯正で治療を行います。永久歯が生え揃う前と後で治療の内容が変わるので、詳しく紹介します。
【不正咬合の治療法1】永久歯が生え揃う前の治療
永久歯が生え揃う前は骨格や顎の骨の位置を矯正する治療を行います。
内容としては、口に入れる装置のバイオネーターやマウスピースを使い、歯の並び方を調整します。
また、永久歯が生えそろう前に、ヘッドギアや上顎前方牽引装置を使って骨格の調整をするケースがあります。これにより、永久歯がきれいに生えられるスペースを作ります。
歯科矯正の詳細を知りたい場合は、以下の記事に幼児の矯正治療の詳細をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
▼歯科矯正について詳しく知りたい方はこちら▼
>>子どもの歯並びを整える方法は?小児矯正の時期や内容を解説
【不正咬合の治療法2】永久歯が生えそろった後
永久歯が生え揃った後では、ブラケットをつけてワイヤーを入れ、歯の形を調整する矯正治療を行います。骨格の歪みが少量であれば、歯を移動させて改善される場合があります。
歪みが大きい場合は、下顎を切断して後ろに下げるような外科手術を行うケースもあります。手術の際は、口の内側を切るので、傷は外から見えにくいです。
全身麻酔を使った大きな手術になりますので、軽症のうちに歯科医院に相談できると良いでしょう。
不正咬合治療中は必ず定期検診へ
不正咬合の治療中は、歯科医院に定期検診にいく必ず行きましょう。
不正咬合の治療で使う矯正治療器具のブラケットやワイヤーは、歯垢が溜まりやすく、お口のトラブルに繋がる可能性があるためです。そのため、壊れたり虫歯になっていたりしないかを、定期的に診てもらいましょう。
不正咬合について気になることがあれば歯科医院へ
不正咬合は、虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、肩こりや頭痛を引き起こしてしまいます。重症化してしまうと、手術が必要な場合もあります。
もし、噛み合わせが悪いかもとを感じている人はなるべく早く歯科医院に行きましょう。軽症であれば治療も楽に済むことが多いです。
また、当院の矯正治療もご利用ください。
※コラムをご覧いただいた方からのご連絡が増えており、治療が必要な方のお電話が繋がりにくくなっています。
当院での治療を検討していない患者様による、ご質問だけのお電話はお控えください。