「普段は痛くないのに、食べ物を噛んだ時だけ痛いのはなんでだろう?」と思ったことがある方がいるのではないでしょうか。
何かを噛んだ時だけ痛いと感じるのであれば、歯の中に異常が起きている可能性が高いです。
何らかの原因で、歯の神経を刺激してしまっています。
この記事では、噛んだ時に痛みを感じる原因や応急措置の方法を紹介しています。
歯の痛みに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
噛むと歯が痛いときに考えられる7つの原因
噛むと歯が痛むときは、主に以下7つの原因が考えられます。
- 虫歯
- 歯根膜炎(しこんまくえん)
- 歯周病
- 歯根破折(しこんはせつ)
- 歯根嚢胞(しこんのうほう)
- 被せ物・詰め物
- ストレス
これらが原因で炎症が起きたり、噛み合わせが悪くなったりして、痛みが出る場合が多いです。
詳しく解説します。
【噛むと痛いときの原因1】虫歯
虫歯は虫歯菌が歯を侵食してしまっている状態です。
初期症状では、歯の表面が軽く溶け、歯が欠けているような状態です。
進行してしまうと菌が神経に到達し、激しい痛みが出ます。
治療するためには、虫歯になっている部分を綺麗に取り除き、症状の進行度によって、詰め物・被せ物をします。
虫歯が進行して神経まで到達している場合は、歯の根の治療を行い、被せ物をするための土台を入れていきます。
なお、1度虫歯治療をしている方も注意が必要です。
詰め物や被せ物の中が虫歯になってしまうと外側から見えにくいので、気づかないまま重症化しているケースも多いです。
▼虫歯の進行段階を詳しく解説▼
>>【早期治療がカギ】虫歯には段階がある?進行状況別に治療内容を紹介
【噛むと痛いときの原因2】歯根膜炎(しこんまくえん)
歯根膜炎(しこんまくえん)は、歯の根の周りにある膜に炎症が起きている状態です。
歯根膜は、歯と歯を支えている顎の骨を繋ぎ止めるものです。
噛んだときにかかる力を吸収・緩和するクッションの役割をしています。
ここに炎症が起きると、噛む度に力が加わり、痛みが出てしまいます。
治療方法は、歯の根の中の清掃・消毒を繰り返し、安静に保つことです。
軽症であれば回復が見込めますが、重症であれば抜歯することもあります。
【噛むと痛いときの原因3】歯周病
歯周病は歯の周りの組織に異常が起きている状態です。
主な症状として以下の2つが挙げられます。
- 歯肉炎
- 歯周炎
歯肉炎は歯茎が赤く腫れています。
その歯肉炎が悪化したのが歯周炎です。
歯と歯茎の間に歯周ポケットという隙間ができ、歯を支える周りの骨が溶けてしまいます。
原因は、歯茎周りに残っている歯垢・歯に付着している歯石です。
歯垢・歯石を取り除き、歯茎まわりを綺麗にして治療をおこないます。
清潔にすることで、炎症が引いて回復するのを待ちます。
症状が進んでいるようであれば、切開して膿を出した後に、抗生剤を服用します。
歯を残すことができないぐらい重症な場合は、抜歯することもあります。
▼歯周病の原因を詳しく解説▼
>>歯周病の原因は2つ!症状や治療方法、予防法まで徹底解説
【噛むと痛いときの原因4】歯根破折(しこんはせつ)
歯根破折(しこんはせつ)は、歯が折れたり、ひびが入ったりしている状態です。
小さなひびが入ったり、真っ二つに割れたりするなど症状はさまざまです。
歯茎から上の部分である歯冠部、歯茎の中の部分の歯根部まで、歯の全体で起こる可能性があります。
原因は、歯ぎしりや外傷、虫歯などが考えられます。
虫歯・歯周病と合わせて、抜歯の3大原因の一つです。
破折が一部分などの軽い症状の場合、根管治療した後にかぶせ物を被せる治療を行いますが、破折が大きい場合は抜歯する場合もあります。
【噛むと痛いときの原因5】歯根嚢胞(しこんのうほう)
歯根嚢胞は歯の根っこの先に、膿の袋である嚢胞ができた状態です。
噛んだときにこの嚢胞が圧迫されて、痛みが出てしまいます。
進行して大きくなってしまうと、嚢胞周辺の神経を圧迫して痛みが強くなることも。
原因は、虫歯や外傷で、歯の中の神経に菌が侵入してしまうことです。
治療では、細菌に感染した神経を除去し、感染部分を消毒します。
重症の場合は抜歯して嚢胞を摘出することもあります。
【噛むと痛いときの原因6】被せ物・詰め物
治療の際に、歯に入れた被せ物や詰め物があっていないと、痛みを感じる場合があります。
一定の歯に力がかかり、噛み合わせに偏りが生じてしまうためです。
加えて、被せ物や詰め物があわないと、汚れが溜まりやすくなります。
結果、虫歯や歯周病などのトラブルを引き起こす場合があります。
【噛むと痛いときの原因7】ストレス
ストレスを感じると、体の抵抗力が低下する場合があります。
抵抗力が弱まると、周囲の血管に悪影響を与えます。
結果、歯に痛みを感じる原因となります。
また、もともと歯に痛みがあり、体の抵抗力で抑えている場合は、歯茎が腫れる場合があります。
噛むと歯が痛いのが治っても痛みがあるなら早めに歯科医院へ
噛んだときに歯に痛みがあるのであれば、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
痛みが出るということは、歯の表面だけでなく、内側にある神経の部分まで症状が進行してしまっている可能性が高いです。
加えて、痛みが治ったとしても歯科医院で状況を確認することが大切です。
放置することで、症状がさらに悪化してしまう場合があります。
痛みを感じるのは、歯に異常が起きている証拠です。
我慢したり、治ったと思って放置したりするのではなく、なるべく早く歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
噛むと歯が痛いときの応急処置方法3選
噛むと歯が痛むときは、できるだけ早く歯科医院で症状を診てもらう必要があります。
しかし、仕事中や夜間など痛みを感じるタイミングによっては、すぐに歯科医院に行けない場合もあると思います。
こちらでは、噛むと歯が痛いときの応急処置の方法を3つ紹介します。
- 患部を冷やす
- 鎮痛剤を飲む
- 口の中をぬるま湯ですすぐ
なお、紹介する方法は、あくまで応急処置です。
痛みが治まったとしても、お口の状況を確認するために、早めに歯科医院へ足を運びましょう。
【応急措置法1】患部を冷やす
患部を冷やすことで、一時的に痛みが軽くなる場合があります。
頰の外側からタオルでくるんだ氷などを当て、ゆっくり冷やしましょう。
急に直接冷やすと、温度変化のせいで痛みが増す場合があるので要注意です。
また、低温火傷になってしまう場合もありますので、長時間当て続けるのではなく、ある程度間隔を開けて冷やすようにしましょう。
【応急措置法2】鎮痛剤を飲む
鎮痛剤を飲むことで応急処置が可能です。
ロキソニンなどの常備薬を持っているなら、服用しましょう。
ただ、鎮痛剤で症状が回復することはありません。
痛みが和らいだからといって放置していると、どんどん悪化してしまいます。
早めに歯科医院に行くようにしましょう。
【応急措置法3】口の中をぬるま湯ですすぐ
口の中をぬるま湯ですすいで、清潔にしましょう。
症状を悪化させないようにするための処置です。
冷水ですすぐと染みる場合があるので注意が必要です。
反対に、熱いお湯も、火傷をしたり血行が良くなったりして、痛みが増す場合があります。
そのため、なるべく体温に近いぬるま湯を用意するようにしましょう。
噛むと歯が痛いときに控えたい2つの行動
噛むと歯が痛むときは、以下の行動を控えましょう。
- 身体を温める
- 患部を刺激する
詳しく解説します。
【控えた方がいいこと1】入浴・飲酒・運動などの身体を温める行為
噛むと歯に痛みを感じるときは、身体を温める行為を控えましょう。
血行が良くなり、痛みが増す可能性が高いです。
痛みがあるときは、入浴や飲酒、運動などの行為は控えます。
できるだけ安静に過ごしましょう。
【控えた方がいいこと2】患部を刺激する
痛みが気になるからといって、患部を刺激するのは控えましょう。
炎症が悪化してしまう恐れがあるためです。
また、直接触ることで、患部から雑菌が入ってしまうこともあります。
気になってしまうのは分かりますが、これ以上悪化させないためにも、刺激するのは控えるようにしましょう。
噛むと歯が痛いのなら歯科医院に相談しましょう
噛むと歯に痛みを感じるのは、口内に異常がある可能性が高いです。
そのため、早めに歯科医院に行くことをおすすめします。
早期発見できれば、治療も軽いもので済み、綺麗な歯を残せる確率も高まります。
少しでも歯に違和感がある場合は、早めに専門家に相談しましょう。
当院の一般歯科もご利用ください。
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