小さい子どもにキスをすると、将来虫歯になる可能性が高いという話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
確かに、原因菌を持っている大人が小さい子に移してしまうと、虫歯を発症する可能性があります。
そのほかにも「大人同士でキスをしたら虫歯は移るのか」「気を付けるべきことはあるのか」など、疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
そこでこの記事では、
- キスと虫歯の関係性
- 虫歯を発症する条件
- 虫歯にならないための予防法
などを紹介します。
ぜひ、参考にしてください。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
キスで虫歯はうつる?
結論から言うと、キスをすることで虫歯はうつる場合があります。
唇が触れる程度のキスならそこまで可能性は高くありませんが、濃厚になればなるほど確率が高まります。
唾液を介すことで、虫歯の原因菌(ミュータンス菌)が移るのが原因です。
生まれたばかりの子どもは、原因菌をお口の中に持っていません。
しかし、唾液によってほかの人の菌をもらってしまいます。
なお、キスだけでなく、飲み物や食器など間接的なものでも原因菌はうつります。
菌をもらってしまうと、虫歯に感染するリスクが出てきます。
そもそも虫歯の原因
キスをしたからといって、即座に虫歯になるわけではありません。
もらった菌が活動することで、虫歯になります。
この原因菌のことをミュータンス菌といいます。
ミュータンス菌は、歯の表面についた歯垢(プラーク)に棲みつき、糖分を栄養にして酸を出します。
酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、その部分に穴をあけることによって虫歯になるのです。
そのため、菌が移る=虫歯というわけではありません。
うつった菌が活動する、歯垢の多い環境を作らないようにすることが大切です。
キスをして虫歯になる3つの条件
キスをしても、必ずしも虫歯になるわけではありません。
しかし、条件を満たすと虫歯が発症する可能性があります。
具体的には、以下の3点です。
- 口内ケアをおこたっている
- お口の環境が悪い
- 免疫力が下がっている
虫歯になりたくない方は、ぜひ参考にしてみてください。
【条件1】口内ケアをおこたっている
口内のケアをおこたると、虫歯になる可能性は高いです。
虫歯の原因菌は、口の中にある食べカスから歯垢を作ります。
菌は歯垢の中でさらに増殖して、症状を引き起こします。
虫歯を予防するためには、普段からの歯磨きが重要です。
【条件2】お口の環境が悪い
ライフスタイルや歯の状況によっては、虫歯が発生しやすいです。
たとえば、以下のとおりです。
- 歯並びや噛み合わせがよくない
- 唾液の分泌量が少ない
- 食事を摂る時間が長い
特に、歯並びや噛み合わせが悪いと、歯周病や頭痛など虫歯以外のトラブルを引き起こす場合があります。
お口や体の健康を保つためには、歯科医院で歯列矯正を受けることが大切です。
▼噛み合わせ治療について知りたい方はこちら▼
>>かみ合わせ治療は重要!受けないデメリットや治療方法を解説
【条件3】免疫力が下がっている
免疫力が低下すると、細菌に感染しやすくなります。
風邪やインフルエンザになりやすいように、虫歯にもなりやすいです。
免疫力が低下するのは、ストレスが溜まったり、睡眠不足になったりなど、さまざまな要因があります。
そのため、普段から健康を保つよう行動することが大切です。
ストレス発散や十分な睡眠時間を心がけましょう。
虫歯があったらキスをしてはいけない?
虫歯があっても、キスはしてもいいです。
赤ちゃんのうちは、虫歯の原因となるミュータンス菌などがありません。
キスをすることで、ミュータンス菌がうつるのは事実です。
ただ、キス以外のシーンでもミュータンス菌はうつります。
たとえば、キスよりも食べ回しのほうがリスクが高いです。
予防するには、スプーンや皿を別にする必要があります。
また、周りの子と同じおもちゃを口に入れてしまってもうつります。
つまり、社会生活をしている限り虫歯菌にうつるのを避けるのは難しいので、キスだけを気にする必要はありません。
なお、子供のうちにお口の常在菌は決まるので、大人はそこまで敏感にならなくて大丈夫です。
それよりも、虫歯予防をしっかりすることが大切です。
虫歯にならないために3つの予防法
虫歯にならないためには、以下3つの予防法が重要です。
- 丁寧な歯磨きをする
- 長い時間口の中に食べ物を入れない
- 定期検診を受ける
「お口の健康を保ちたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【予防法1】丁寧な歯磨きをする
毎日丁寧に歯磨きをすることによって、口の汚れを落として清潔に保つことが大切です。
虫歯の原因であるミュータンス菌が酸を出さないよう、歯垢(プラーク)を落としましょう。
食べカスを口に残さなければ、歯が溶け出すのを抑えられます。
1回1回丁寧にブラッシングするのが大切ですが、特に意識したいのが夜の歯磨きです。
寝ている間は唾液の分泌量が減り、再石灰化が起こりにくくなるので虫歯のリスクが上がります。
そのため、夜はいつも以上に丁寧に歯磨きを行いましょう。
また、お子さんには仕上げ磨きしてあげることで、虫歯の予防につながります。
【予防法2】長い時間口の中に食べ物を入れない
食べ物が口に入っていると、虫歯菌が糖分を餌にして酸を出します。
口の中に食べ物がある時間が長いほど酸が出やすくなり、その分虫歯のリスクも高まります。
そのため、長い時間口の中に食べ物を入れないことを意識しましょう。
特に甘いものや食べ物を頻繁に食べたがるお子様には要注意です。
親御様がしっかりと管理して、長い時間食べ続けることがないようにしてあげましょう。
【予防法3】定期検診を受ける
初期の虫歯を見逃さないために、定期検診も活用しましょう。
最初は痛みもなく歯が濁る程度なので、虫歯の予兆に気づかないことも多いです。
この段階で気づくために、歯科医院をぜひ活用ください。
定期検診ではお口の状態チェックのほか、自分では取りきれなかった歯垢(プラーク)や汚れの除去、個人に合ったブラッシング指導もしています。
虫歯は早期発見が大切
キスによって虫歯になったとしても初期虫歯であれば、「再石灰化(さいせっかいか)」を促すことで、削ることなく歯を修復させることができる場合もあります。
しかし、痛みがないため、この段階では気づきにくいものです。
そのため、定期検診を活用しながら、早めの対処に取り組みましょう。
▼早めに虫歯を治療する重要性について知りたい方はこちら▼
>>【今すぐ歯科医院へ】虫歯を放置すると危険な理由5選を解説
穴が空いて痛みが出た虫歯は、患部を削らなければ進行が止まらなくなります。
ご自身やお子様の歯を守るためにも、早期発見のために歯科医院にお越しください。
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