インプラントとは
インプラントは、自分の歯と同じような噛み心地を再現できる義歯です。 差し歯や入れ歯とは違い、顎の骨に直接固定するので、入れ歯が合わないという方にもおすすめです。噛む力を分散できるので、まわりの歯にも負担をかけず、残りの歯を守ることにもつながります。 歯ブラシやデンタルフロス・歯間ブラシなどでお手入れでき、歯科医院で定期的にきちんとメンテナンスを行えば、長く使えることがほとんどです。
インプラント治療の4つのメリット
インプラントには下記のようなメリットがあります。
天然歯に近い噛み心地
インプラントは、歯を失ってしまったときの治療法の中でもっとも天然の歯に近い咀嚼ができると言われています。
インプラントの場合、人工の歯根を埋め込むため、根のある歯に似た使用感になります。そのため、食事を違和感なく楽しみやすい治療法です。
発音がしやすくなる
インプラントをいれることで、発音がしやすくなるというメリットもあります。インプラントの場合、入れ歯のように、会話中にズレたり外れたりすることがありません。そのため、気にせずに話すことができます。
特に、奥歯のインプラントをすると「は行」「ら行」、前歯の場合は「さ行」や「な行」が話しやすくなります。
見た目が自然
インプラント治療は、人工の歯根を体に埋め込みその上に被せ物をするので、ほとんどの場合金属が見えません。
そのため、自然な見た目にすることが可能です。特に、被せ物を変色の心配が少ないオールセラミックにすると、きれいな歯にすることができます。
前歯など、会話中に見えやすい歯の場合は大きなメリットでしょう。
健康な歯を削らない
インプラント治療は周りの歯に負荷をかけない方法です。たとえば、ブリッジで歯を補う場合は、横の歯を削る必要が出てきます。これにより、周囲の歯に負担がかかり寿命が縮まるリスクもあります。
その点、インプラントならば健康な周りの歯を削らずに治療できます。
▼前歯をインプラントで治療する場合のメリットはこちら▼
>>前歯のインプラントはどんな場合にするべき?メリット・デメリットを解説!
▼奥歯をインプラントで治療する場合のメリットはこちら▼
>>奥歯のインプラントはどんな場合にするべき?メリット・デメリットも解説!
インプラントの種類について
インプラントはさまざまな型があり、日本国内だけでも30種類以上が使われていると言われています。それぞれ、形状や加工が異なっているため、治療時にメーカーを把握しておくことをおすすめいたします。 なお、インプラントの製造販売している会社の中で4大メーカーと呼ばれているのが下記の4社です。
- ストローマン社(スイス)
- ノーベルバイオケア社(スウェーデン)
- ジンマー社(アメリカ)
- アストラテック社(スウェーデン)
上記4つの会社は実績が豊富で、使用されてきた歴史も深いです。当院では、長い実績があり安全性が高いことがわかっている4大メーカーのなかから、アストラテック社のものを採用しています。
▼インプラントの構造や形状についての豆知識▼
>>【覚えておこう】インプラントには種類がある?4つの観点から特徴を解説!
インプラントとブリッジ・入れ歯の違い
治療法を悩んでいる患者様に向けて、3つの方法の特徴をまとめました。
インプラント | ブリッジ | 入れ歯 | |
見た目 | 自然 | 素材次第 | 違和感あり |
噛みごこち | 良い | 良い | あまり良くない |
違和感 | ない | ほとんどない | 異物感あり |
手入れ | 歯磨きしやすい | 磨きにくい | 取り外して洗える |
横の歯の影響 | ほとんどない | あり | ややあり |
費用 | 高 | 低〜高 | 低〜高 |
手術 | 必要 | 不要 | 不要 |
治療期間 | 約4ヶ月 | 約1ヶ月 | 約1ヶ月 |
寿命 | 長め | やや長め | 短め |
インプラントは、見た目が自然な仕上がりになり、違和感もなく、生活に支障がほとんどありません。ただ、費用が高く、手術が必要なこともあり負担が大きいです。
ブリッジは、費用をかけて治療することで、見た目もあまり違和感のない歯の状態に戻すことができます。
ネックなのは、周りの歯をブリッジに合わせて削る必要があること。削った歯はもろくなったり、虫歯になる可能性が高くなってしまいます。
入れ歯は値段が安く、短い時間で治療ができるのがメリット。ただ、見た目や使用感で異物感が高いです。
自分の歯の状態に合わせて、治療法を決めていきたいですね。
▼インプラントと他の治療法をさらに詳しく比較したコラム▼
>>【保存版】インプラント・ブリッジ・入れ歯治療のメリット・デメリットを徹底解説
インプラントのデメリット
インプラント治療にはデメリットもあります。あらかじめ理解した上で治療に望みましょう。
治療費が高め
インプラントの素材に使用されているチタンは高価な金属なので、治療費が高くなってしまいます。
また、基本的に保険が適用されないので、全額自己負担となるところも高額になる一因です。費用をみて、インプラント治療をためらう方もいらっしゃるでしょう。
治療期間が長め
骨の状態などにより個人差はありますが、入れ歯やブリッジなどの治療に比べて、治療期間が長くなることもデメリットの1つです。
骨が十分にある場合でも、治療期間は約4ヶ月。さらに、土台の骨量が少ない場合は、まず骨を増やす治療から始めます。この場合は、追加の期間として3〜9ヶ月かかることもあります。
インプラントの治療が受けられない人
下記に当てはまる方はインプラントの治療を受けられない場合があります。あらかじめご了承ください。
未成年の方
インプラントが可能な年齢は、20歳からとなります。 20歳頃になると、顎の骨の成長が止まっているので、インプランントを顎の骨に入れても不具合が起きる可能性が低くなるためです。 顎の骨が成長している時に治療を始めると、インプラント治療後に形が変わってしまう可能性があります。その結果、歯並びや見た目に影響が出てしまうリスクがあるため、未成年の方への治療はおこなっておりません。
妊娠中の方
妊娠している場合、インプラント治療を受けられない場合があります。 妊娠初期のつわり中や妊娠後期の状態では、上向きで寝転がる状態が身体に良くありません。腹部大動脈を圧迫し、気分が悪くなったり、早産になってしまったりする可能性があります。
持病のある方
持病があって薬を服用している場合、インプラント手術を受けられないことがあります。 特に、骨粗鬆症や乳がんの治療薬には、骨の代謝に影響するものがあります。顎の骨に影響がでる場合、インプラントが骨に結合しないリスクがあるため、治療をおこなっておりません。
▼そのほか治療できない可能性のあるケースを解説▼
>>インプラントに年齢制限はあるの?高齢で治療する際のリスクも解説
インプラントの寿命
インプラントの平均的な寿命には個人差がありますが、上顎の場合90%、下顎の場合は95%の確率で、10年持つと言われています。
世界でも有数なインプラントメーカーによる実験では、10年後のインプラント生存率は98.8%でした。
ただし、これはしっかりと定期的なメンテナンスを行った場合です。メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎などの病気にかかり、すぐに抜けてしまう可能性もあります。
また、生活習慣に問題があったり、噛み合わせが悪かったりすると、10年持たない可能性もあります。
▼インプラントを長持ちさせるための方法を解説▼
>>【10年以上使うために】インプラントを長持ちさせる方法や寿命を縮める原因を解説!
インプラントの手術方法
インプラントの手術には大きくわけて2つの方法があります。お口の状態によって、どちらの方法を適用するか変わりますので、まずは検査に起こしください。
1回法
抜歯したその日にインプラントを埋め入れる方法です。
1回法(抜歯即時埋入法)をするためには、
- インプラントを埋め込むための十分な骨の厚みがあること
- 歯周病にかかっていない
などの条件がそろっている必要があります。
名前のとおり、外科手術が1回ですむため、歯がない期間を過ごさなくて良いことがメリットです。
ただし、顎の骨が痩せていたり、歯茎に損傷があったりすると、インプラント後の細菌感染のリスクが高まるリスクもあります。
2回法
2回法は、抜歯をして傷口がある程度回復した後にインプラントを埋入する方法です。歯を抜いてから、3~8ヶ月が2回目の手術の目安になります。
名前のとおり外科手術を2回にわける方法です。土台の治りを待つため、理想の位置にインプラントを入れられるのが特徴です。ただし、治療期間が長くなるデメリットもあります。
▼1回法と2回法それぞれの違いやメリット・デメリットを詳しく解説▼
>>抜歯後のインプラント治療を解説!方法別の特徴や流れも紹介
※準備中
インプラントの治療の流れ
それぞれの治療について、詳しくお話ししていきます。
【インプラントの治療の流れ1】問診・カウンセリング
最初に現在の症状や悩み、痛みがある部位などをカウンセリングします。 このとき、インプラントについて不安や心配事があればお気軽に相談ください。
【インプラントの治療の流れ2】検査
レントゲン撮影、CT撮影により口腔内検査を行います。 口腔内の結果から、インプラントのシミュレーション行いさらに精密な検査へ。 ここで、骨の状態や症状の進行度合いを確認しましょう。 検査の結果で、すぐにインプラント治療をスタートするか、骨造成を行うか決まります。
▼骨造成について詳しく解説したコラムはこちら▼
>>骨造成の記事へ(準備中)
【インプラントの治療の流れ3】手術
一次手術では歯を支えている骨(歯槽骨)にドリルなどを使い穴を空けます。 そして、空けた穴に人工歯根となるインプラントを埋め込みます。最後に、インプラント上部にキャップを取り付け、開いていた歯肉を被せて傷をふさぎます。 2つのパーツでできている2ピースタイプのインプラントは、一次手術の後二次手術を行います。二次手術ではインプラント上部を手術部位の歯肉からメスなどで露出させます。 その後、歯肉の治癒を促進するための専用キャップを取り付けて完了です。
【インプラントの治療の流れ4】装着
患者さんから型取りをした後、製作された土台(アバットメント)を取り付けます。 その後、歯の形をした上部構造(セラミック冠)を装着して完成です。 これで天然の歯と同じように、食べ物を噛むことができます。
【インプラントの治療の流れ5】メンテナンス・定期検診
治療後も3か月に1回程度の目安でメンテナンスを行いましょう。
定期健診では、インプラントや人工の歯の状態、噛み合わせを確認します。
▼さらに詳しくインプラント治療施術の流れを解説▼
>>インプラントの治療期間の目安は?施術の流れも分かりやすく解説!
インプラントに関するよくある質問
ここでは、インプラントに関してよくある質問をまとめました。
治療は痛くないの?
麻酔が効いた状態で手術をするため、手術中の痛みは感じません。麻酔を注射するときの針や液体による痛みを感じる程度です。
術後の痛みは2〜3日で引いていきます。インプラントの手術器具は鋭利なため、骨に開ける穴はちいさく、術後の痛みも抑えられています。親知らずの抜歯より痛みは続かなかったとおっしゃる患者様も多いです。
▼そのほかインプラント手術の不安に答えるコラム▼
>>怖いイメージのあるインプラント手術の流れや実際の痛みを解説
インプラントで口臭がきつくなるって本当?
インプラント後に、口臭が気になるようになる可能性はあります。ただし、治療後の口腔内に問題がなければ、特に匂いは出てきません。
インプラント後の口臭がきつくなる原因は、歯垢(プラーク)やお口の炎症によるもの。インプラントそのものが悪いというより、お口のケアや生活習慣によるところが大きいです。
▼インプラント後に口臭がきつくなる原因と対策を詳しく解説▼
>>インプラントで口臭がきつくなる?原因や対策、予防法も解説!
インプラントをすると虫歯のリスクはあがる?
インプラント自体は人工物のため、虫歯になることはありません。しかし、インプラント周辺の歯が虫歯になるリスクはあります。隣の歯との境目には歯垢がつくので、しっかりと歯磨きでケアしましょう。
また、ケアが不十分だとインプラント周囲炎という、歯周病のような病気になるリスクもあります。この病気はインプラントの寿命を縮める原因にもなるため、かからないように日々のメンテナンスを行いましょう。
▼インプラントと虫歯の関係性を解説▼
>>インプラントは虫歯になる?メンテナンス不足で起こるトラブルと定期検診が必要な理由を解説
インプラントの費用について
インプラントの費用は歯を失ったときの他の治療法に比べて高額なことが多いです。この理由としては、技術料とパーツ代を含んでいるためです。具体的には下記のような費用が入っています。
<インプラントを埋め込む技術料>
- 事前の精密検査
- 手術代
<複雑なパーツ代>
- 土台の費用
- 型取りの費用
- 人工歯の費用
このほか、仮歯や麻酔の費用がオプションになっている歯科医院もあります。
提示されている費用がどこまでどこまで含まれているものなのか、治療前に確認することをおすすめします。
なお、当院の場合、インプラント治療は35万円ほどです。また、顎の骨が薄く、骨造成が必要な場合はお口の状態に合わせて5万円〜の追加料金をいただいています。
実際の費用が気になる方は、まずは相談だけでもお気軽にお越しください。
当院のインプラント治療の特徴
ここでは、当院のインプラント治療の特徴を紹介します。
世界4大メーカーのインプラントを採用
当院では、アストラテック社のインプラントを使用しています。こちらはスウェーデン製のもので、世界4大メーカーと呼ばれる歴史あるメーカーの1つです。
長い実績があり、かつ、安全性が高いことが分かっているインプラントを採用しています。
歯科用CTを完備
当院では歯科用CTを完備しています。そのため、外部に検査に行く必要がなく、当院の中でお口の状態をしっかりと把握した上で手術に臨めます。
顎の骨や神経などの状態や位置をCT検査で確認したうえで、インプラントの精密な治療をおこなえるのも特長です。
インプラントの専門医が治療を担当
インプラントはかなり専門的な知識・技術が必要な治療です。そのため、当院の治療では外部から専門医をお呼びして治療をおこないます。
患者さまに安心して治療を受けていただけるように配慮しています。
治療前の準備から指導
インプラント治療を行うには、患者さまのお口の中の環境が整っていることが大切です。
患者さまへのカウンセリングと検査から、お口の中の状況や生活習慣を把握し、改善指導から始めていきます。お口の状態が悪いまま治療を始めると、歯が傾いてきたり骨とうまく結合しないこともあるため、当院ではしっかりと準備から指導しております。
▼インプラントのリスクと当院の対策についてまとめたコラム▼
>>【治療前に確認】インプラントのリスクと4つの失敗例を解説