皆さんこんにちは、むかえ歯科・小児歯科です。
今回はインプラントの種類についてお話していきます。
インプラントは、天然歯のような見た目をしています。
歯科医院で説明を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インプラントの型は豊富で、日本国内だけでも、30種類以上が使われているといわれます。
これだけ数が多いと、どのタイプを使用すればいいのか迷ってしまう方は多いでしょう。
そこでこの記事では、インプラントの種類を下記4点に分けて紹介していきます。
- 構造
- 材料
- 表面処理
- 形状
タイプごとに特徴や注意点を説明していきます。
インプラントを検討している方は、ぜひご覧ください。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
【基礎知識】インプラントとは?
インプラントとは、人工の材料や部品を体に入れることの総称です。
歯とは関係のない、人工関節や心臓のペースメーカーなども該当します。
歯科医院では、主に歯を失った際にインプラントを使用します。
顎の骨に体になじみやすい材料で作られた歯根の一部、あるいは全部を埋め込みます。
それを土台に、セラミックなどで作った人工歯を取り付けます。
ちなみにインプラントは、以下3つの部品に分けられます。
- 上部構造(歯冠部分):人工歯
- インプラント体(歯根部分):顎の骨に埋め込む
- アバットメント:上部構造とインプラント体を連結させる
覚えておくと、歯科医師の説明が理解しやすくなります。
必須ではありませんが、ぜひ頭に入れておきましょう。
【インプラント治療を行う前に】歯科医院での定期的な検診を受けよう
インプラントは歯を失った際に用いられる治療の1つです。
歯を喪失する原因として、虫歯や歯周病などの病気が挙げられます。
インプラントの相場は、30~50万です。
基本的に保険が適用されないため、患者さんの金銭的な負担が大きい治療です。
そのためインプラント治療を行わなくてもいいように、お口の健康を保つことが大切です。
歯の喪失を防ぐため、普段から定期的な検診を心がけましょう。
3ヶ月に1回のペースで歯科医院に通うことで、口内トラブルの早期発見に繋がります。
インプラントの種類を把握する必要性は?
そもそもインプラントの種類を把握しておく必要性はあるのでしょうか。
結論からお伝えすると、種類は覚えておいた方がいいです。
理由として、インプラント治療後に、何らかの事情により、取り付けたアバットメントや上部構造を付け外すこともあるからです。
「担当してもらった歯医者さんに聞けば問題ないのでは?」と思う人もいるでしょう。
しかし、引越しや閉院などが原因となり、治療を受けた歯科医院へ通えなくなることも考えられます。
その他にも、外出先でアクシデントが起こる可能性もあります。
なにかあったときのことを考えて、治療後の万が一に備えて、インプラントの種類を把握しておくことが大切です。
自分の使っているメーカー名・種類などを聞いておくと安心でしょう。
なお、あまり普及していないメーカーのインプラントをいれると、後に治療が難しくなる恐れがあります。
そのため、治療を受けるまえに、どの種類を使うのか吟味することも必要です。
インプラントの構造の種類
インプラントの構造は、主に以下の2つに分類されます。
- 1ピースタイプ
- 2ピースタイプ
それぞれの特徴を詳しく紹介します
【インプラントの構造の種類1】1ピースタイプ
1ピースタイプのインプラントは、顎の骨に埋め込むインプラント体とアバットメントが一体化していることが特徴です。
アバットメントとは、上部構造とインプラント体を連結させる部品です。
1ピースタイプでは、アバットメントを連結させるために歯茎を再度切開する必要はありません。
手術の回数も1回で済むことがほとんどなので、患者さんの身体にも負担がかかりにくいといわれています。
一方、顎の骨が薄い場合は使用できません。
その他にもアバットメントにトラブルが発生した場合、インプラントごと撤去しなければならないという特徴もあります。
【インプラントの構造の種類2】2ピースタイプ
2ピースタイプは、インプラントとアバットメントをネジで連結するタイプです。
装着する部品が2つあることが特徴です。
お口の状態と治療経過に合わせて、数種類の中からアバットメントを選択して連結できます。
様々な歯の形態に応じることも見込まれるでしょう。
ただし、2ピースタイプは2回手術が必要になります。
1回目でインプラント体を入れ込み、2回目でアバットメントをはめ込むからです。
1ピースタイプよりも手術回数が増えるため、患者さんへの身体の負担がかかるといわれています
なお、部品が多いので、費用は高めです。
インプラントの材料の種類
インプラントの材料は、主に以下の2点です。
- 純チタン・チタン合金
- チタン・ニッケル合
材料にも違いがあるので、ぜひチェックしてみてください。
【インプラントの材料の種類1】純チタン・チタン合金
インプラントで基本的に使われるのが純チタン・チタン合金です。
この素材は強度があるため、長持ちしやすいことが特徴です。
歯となじみやすく、骨との結合もしやすくなっています。
【インプラントの材料の種類2】チタン・ニッケル合金
チタン・ニッケル合金は、任意の形状に成形しやすく、その形を保ちやすいという特徴があります。
純チタン・チタン合金と比較すると、骨への結合性は劣るといわれています。
インプラントの表面処理の種類
インプラントの表面処理では、主に以下3点が使用されます。
- ブラスト処理
- 酸化処理
- 機械研磨処理
それぞれの処理の特徴も併せて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
【インプラントの表面処理の種類1】ブラスト処理
ブラスト処理は、鋳造物内面の酸化膜を除去し、粗面に加工することで骨との結合力を向上させる目的で行われる方法です。
簡単に説明すると、表面を細かく粗くしてやることで骨との結合力を向上させる処理です。
【インプラントの表面処理の種類2】酸化処理
酸化処理では、チタンの表面に酸化チタンを付与することで、凹凸を作ります。
ブラスト処理と同じく、表面に凹凸があることで骨との結合を高めます。
【インプラントの表面処理の種類3】機械研磨処理
機械研磨処理とは、表面を滑らかにする方法です。
インプラントの多くの部分が、骨に接触しても問題ないよう処理されていることが特徴です。
インプラントの形状の種類
インプラントの形状の種類は、主に以下の4つです。
- スクリュータイプ
- シリンダータイプ
- バスケットタイプ
- ブレードタイプ
順番に見ていきましょう。
【インプラントの形状の種類1】スクリュータイプ
最初に紹介する形状は、スクリュータイプです。
現在の歯科用インプラントは、ほぼ全てがこのタイプを採用しているといっても過言ではありません。
ネジのような形をしており、回転させながら顎の骨に埋め込むことが特徴です。
骨と接する面積が大きいので、埋め込んだ際に固定しやすくなっています。
【インプラントの形状の種類2】シリンダータイプ
シリンダータイプは、ネジがついていない円筒形で、ハンマーで槌打しながら顎の骨に埋め込むことが特徴です。
そのため、骨に埋入することは容易といわれています。
ただし、表面積がスクリュータイプなどと比較して小さいため、固定が弱くなる場合があります。
また、手術は2回行うため、患者さんへの身体的負担が大きいといわれています。
【インプラントの形状の種類3】バスケットタイプ
バケットタイプは、中や側面に穴が空いており、空洞になっているのが特徴です。
この穴があることでインプラントの中まで骨が入り込めるようになっています。
一方、空洞部分にしっかりと骨ができるように埋め入れる技術が必要です。
強度が弱いためインプラント自体の破折リスクが高いため、現在ではほぼ採用されていません。
【インプラントの形状の種類4】ブレードタイプ
ブレードタイプは、バスケットタイプと同様に、昨今ではほとんど使用されない形状です。
幅が狭く細い板状のインプラント体が特徴です。
主に、骨の幅が狭い部分での治療で使われていました。
ブレードタイプは、インプラントの一点に力が集中しやすく、壊れやすいです。
また、痛みや腫れが出たり、埋め込んだ部分が炎症を起こしたりという課題もあります。
これらの理由により、ブレードタイプのインプラントは使用することが少なくなりました。
インプラントの手術の種類
インプラントそのものだけでなく、手術にも種類があります。
主に、以下3つの方法があります。
- 即時荷重法(そくじかじゅうほう)
- ザイゴマインプラント
- All-on-4(オールオンフォー)
なお、どの方法がよいのかは、歯科医院に判断を仰ぎましょう。
【インプラントの手術の種類1】即時荷重法(そくじかじゅうほう)
即時荷重法(そくじかじゅうほう)は、インプラントを埋め込んですぐに仮歯を装着する手術です。
一般的な治療では、インプラントと顎の骨が結合するまでに、3〜6ヶ月かかります。
そのため、治療した部分でものを噛むには、長い時間を要します。
一方、即時荷重法であれば、直後に仮歯を装着するため治療を受けた日から噛むことが可能です。
そのため、治療を受けた当日でも、噛む部分を気にすることなく食事を楽しめます。
とはいえ、力をかけすぎには注意しましょう。
顎の骨との結合が妨げられる恐れがあります。
【インプラントの手術の種類2】ザイゴマインプラント
ザイゴマインプラントは、頬の骨(ザイゴマ)に人工歯を埋め込む方法です。
一般的なインプラント治療では、顎の骨にインプラントを挿入します。
ザイゴマインプラントは、多くの歯を失った場合に採用される手術です。
そのため、2〜3本程度失っている方には、この治療は行われません。
【インプラントの手術の種類3】All-on-4(オールオンフォー)
All-on-4(オールオンフォー)は、すべての歯を失った患者さんに適用される治療法です。
全部の人工歯を4本のインプラント体で支えることから、この名称で呼ばれています。
すべての歯をインプラントにする場合、治療にかかる費用や患者さんの体の負担が大きくなります。
しかし、All-on-4であれば、インプラント体の挿入が4本で済みます。
そのため、経済面や身体面の負担を少なくすることが可能です。
当院で使用しているインプラントの種類
むかえ歯科・小児歯科で用いているインプラントの種類について紹介していきます。
歯科におけるインプラントを製造販売している会社は。世界で数百社あると言われています。
その中で信頼のおけるインプラントメーカーとして、4大メーカーと呼ばれる会社が存在します。
以下の4社です。
- ストローマン社(スイス)
- ノーベルバイオケア社(スウェーデン)
- ジンマー社(アメリカ)
- アストラテック社(スウェーデン)
この4つの会社は実績が豊富で、使用されてきた歴史も深いです。
また、世界・日本中で使用されているため、引っ越しなどの事情で歯科医院を変更せざるを得なかった場合でも安心です。
インプラントは各社によって使用される器具が異なるため、その歯科医院で取り扱っていないメーカーの場合、経過を追うことが難しくなることがあります。
なお、当院ではアストラテック社のインプラントを使用しております。
お口の中にいれるインプラントだからこそ、長い実績があり安全性が高いことが分かっているものを当院では選んでいます。
不明な点や心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。
インプラントの種類でお悩みがあれば歯科医院へ
インプラントとひとことでまとめても、構造、材料、表面処理、形状など、様々なタイプがあります。
ただし、今回紹介したインプラントの種類は、ほんの一部です。
そのため、自分に合っているインプラントなのかどうかは、歯科医院へご相談ください。
なお、インプラントは基本的に保険が適用されません。
そのため、患者さんの費用負担はかなり大きいです。
インプラント治療を受けなくてもいいように、お口のトラブルを未然に防ぐことも重要です。
普段から歯科医院で定期的な検診を受けるよう心がけましょう。
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当院での治療を検討していない患者様による、ご質問だけのお電話はお控えください。