「子どもが抜けそうな歯を気にしているけど、抜いてしまっても大丈夫なのかな?」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、自然に抜け落ちる分には問題ないことが多いです。
しかし、症状によっては歯科医院に相談したほうが良いケースもあります。
この記事では抜けそうな乳歯に関して気になる、以下のことについてまとめています。
- 抜けても大丈夫な状態
- 痛くない乳歯の抜き方
- 無理やり抜いてしまうリスク
- 歯科医院に相談したほうが良いパターン
お子様が当てはまっていないかどうかしっかり確認しましょう。
総社市の歯科医院「むかえ歯科・小児歯科」院長、歯科医師。
地域に根ざし、子どもから大人までお口の健康をサポート。できる限り歯を残す治療や予防を手掛ける。
乳歯が歯茎からほとんど剥がれているなら放っておいても大丈夫
乳歯が歯茎からほとんど剥がれ、グラグラというよりぶらぶらという状態になれば放っておいても問題ありません。
乳歯は永久歯が生えてくるのに合わせて、少しずつ歯茎から剥がれていきます。
ぶらぶらしているのは永久歯が生えてきている証拠です。
普通に生活していればきれいに抜けていくことがほとんど。
無理に抜こうとせず、自然と抜けるのを待とうとお子様に伝えておくと良いですね。
痛くない乳歯の抜き方は?少しずつ歯を揺らそう
乳歯を抜く際に痛くないようにするには、指や歯で少しずつ抜けそうな乳歯を揺らしましょう。
自然に抜けるのを促します。
無理に力を入れるのではなく、少しずつ力を入れるのが大切です。
「抜く」というより「抜けた」という状態を目指します。
自然に抜けることができれば、歯の周りが病気になるリスクもほとんどありません。
また歯科医院で抜歯をすると麻酔をかける必要があります。
そのため、お子様に負担をかけてしまいます。
自然にできるのであれば、ご自宅で抜けるのを待つほうが良いでしょう。
▼抜けた乳歯の保存方法に関するコラム▼
>>【要チェック】乳歯の保存方法はどうしたらいい?自宅に残す場合の洗い方も紹介
無理やり乳歯を抜くのはNG!引き抜くことによる2つのリスク
自然に抜ける前に無理やり乳歯を引き抜いてしまうのは危険です。
無理に抜いてしまうと以下の状態になってしまう場合があります。
- 歯の根っこが歯茎の中に残る
- 歯茎を傷つける
自分で歯を抜いてしまうリスクについて解説しますので、お子様が歯を無理やり抜いてしまわないように注意しましょう。
【リスク1】歯の根が歯茎の中に残る
力強く引っ張って乳歯を抜いてしまうと、歯の根っこが歯茎の中に残ってしまうことがあります。
歯の根が残ってしまうことを「残根」と言います。
残根になると残った歯の神経は死んでしまい、痛みはほとんどないことが多いです。
しかし、残った歯の周りに細菌が付着し炎症を起こす可能性があります。
歯科医院で抜去しなければならなくなる可能性が高いため、注意が必要です。
【リスク2】歯茎を傷つけてしまう
まだ取れそうにない乳歯を無理やり引っ張ってしまうと、歯茎が裂けて出血してしまう可能性があります。
乳歯と歯茎はしっかりとくっついており、永久歯が生えてくるのに合わせて徐々に剥がれていきます。
無理やり乳歯を抜いてしまうということは、まだしっかりくっついている歯を剥がすことになるので、歯茎に傷がつく可能性もあります。
お子様が歯を強く引っ張らないよう注意しましょう。
永久歯も揺れる?乳歯と間違えて揺らさないように注意!
永久歯も生えたての頃は、根が固まりきっていないので少し揺れてしまいます。
抜けそうな乳歯と間違えて永久歯を揺らしてしまわないように注意しましょう。
子供が抜けそうな乳歯を揺らそうとしている際は、揺れそうな歯だけに触れるようにやり方を教えると良いですね。
また、お子様の歯を触ることがあれば、間違えて永久歯を揺らすことがないように注意してください。
▼乳歯の抜ける順番や生えてくる永久歯に関するコラム▼
>>乳歯が抜ける順番は?永久歯に生え変わる時期や注意点を解説
乳歯の抜き方で歯科医院に相談したほうが良い7つのパターン
乳歯周りに異常がある場合には、歯科医院で相談したほうが良い場合があります。
主に、以下の6パターンです。
- 永久歯が正しく生えてこない
- 乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきている
- 乳歯が虫歯になっている
- 反対側の歯は抜けたけど逆側が抜ける気配がない
- 乳歯が損傷している
- 歯茎が膿んでいる
- 歯がグラつくのが早い
詳しく解説していきますので、お子様がこの症状に当てはまっているかどうか確認しましょう。
【パターン1】永久歯が正しく生えてこない
永久歯がまっすぐ生えてこず、歯茎の内側・外側から生えてきている場合には歯科医院に相談することをおすすめします。
放置しておくと永久歯が正しくない位置から生えてきてしまい、歯並びが悪くなってしまう可能性があります。
早めに治療することができれば正常な位置に戻しやすいです。
【パターン2】乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきている
一般的には、永久歯は乳歯が抜けてから生えてきます。
しかし、場合によっては、乳歯が抜ける前に永久歯が生えていることがあります。
このような状況の場合は、歯科医院に相談しましょう。
そのままの状態を放置すると、永久歯の生え方に影響し、歯並びや噛み合わせが悪くなる場合があります。
【パターン3】乳歯が虫歯になっている
乳歯が虫歯の場合には、歯科医院に相談することをおすすめします。
虫歯の痛みがきつくてお子様が苦しむ場合もあります。
さらに、放置しておくと他の乳歯も虫歯になってしまう可能性があります。
稀に、乳歯の虫歯が永久歯に影響を及ぼす場合もあります。
乳歯が虫歯になってしまった場合は放置せず、来院してください。
▼乳歯の虫歯を放置する危険性を解説▼
>>幼児の虫歯は治療すべき?虫歯予防のためにするべきことは?
【パターン4】反対側の歯が抜けたが逆側が抜ける気配がない
反対側の歯が抜けたのに、逆側の歯が抜ける気配がない場合には歯科医院に相談しましょう。
永久歯は、左右でほぼ同じタイミングで生えてきます。
歯がぐらつかなかったり、あまりに生えてこなかったりするい場合は、永久歯の先天性欠如の可能性もあります。
【パターン5】乳歯が損傷している
乳歯が損傷している場合は歯科医院に相談することをおすすめします。
かけている・折れている・割れている・ずれているなどの場合は、乳歯が抜ける際にきれいに抜けずに一部が残ってしまう可能性があります。
【パターン6】乳歯の下が膿んでいる
乳歯の根元に膿が溜まっていると、歯茎が腫れてしまいます。
状態によっては、根の治療を行っても膿を出し切れない場合があります。
結果、体調の悪化等をきっかけに頬まで大きく腫れてしまうことが考えられます。
根の状態によっては抜歯することがあります。
【パターン7】歯がグラつくのが早い
歯がグラつくのが早過ぎる場合は、歯科医院に相談しましょう。
乳歯は年齢に合わせて順番に生え変わっていきます。
歯が抜ける時期は、以下の表を参考にしてください。
上の歯 | 下の歯 | |
乳中切歯 | 7〜8歳 | 6〜7歳 |
乳側切歯 | 8〜9歳 | 7〜8歳 |
乳犬歯 | 11〜12歳 | 9〜10歳 |
第1乳臼歯 | 10〜11歳 | 10〜12歳 |
第2乳臼歯 | 10〜12歳 | 11〜12歳 |
生え変わりには個人差があるので、あくまで目安です。
すごく早い段階で歯がグラついている場合は、歯が脱臼していたり、折れていたりする場合があります。
放置していると歯並びが著しく悪くなる場合があるので早めに相談するようにしましょう。
乳歯の抜き方について不安があれば歯科医院へご相談ください
乳歯がグラグラしてきたら指や舌で少しずつ押していき、自然に抜けるのを促していきましょう。
もし、お子様が以下の状態に当てはまるようでしたら歯科医院に相談しましょう。
- 永久歯が正しく生えてこない
- 乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきている
- 乳歯が虫歯になっている
- 反対側の歯は抜けたけど逆側が抜ける気配がない
- 乳歯が損傷している
- 歯茎が膿んでいる
- 歯がグラつくのが早い
他にも何か気になることがあれば、歯科医院にぜひ相談ください。
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